心身医学と東洋医学の融合

挨拶

理事長挨拶

理事長:山岡 昌之
 
img_rijicho_yamaoka.jpeg 漢方治療は、日本の代表的な伝統文化のひとつと考えられております。我々は、医学部において、西洋医学を主体とした医学教育を受け、国家試験に合格して医師になっております。近年、全国の医学部において医学教育の一部に漢方医学が取り入れられたことは極めて意義深いことと思われます。
心身医学では、心と体は互いに強く影響しあうという「心身一如」という概念が根底にありますが、実は、東洋医学にも、まさに、この「心身一如」の考えが基本にあり、心身医学と東洋医学は共通の思想基盤をもった学問といえるのです。
また、西洋科学的思考に染まっている我々は、ややもすると善と悪、男と女といった両極端を頭において、二元論的にものを考えることが多いのです。自分自身でもそういうふうに考えていることすら意識しないことも多いと思われます。しかし、東洋医学には、バランスを重視する考え方が根底にあります。
過剰なストレスに満ちた現代社会の中にあって、従来型の西洋医学だけでは対処できない患者さんたちが増えていることは事実です。血液検査をはじめとする検査室で得られた検査結果だけでは正確な診断が得られないのは当然であり、生育歴や生活環境、体質などの情報を総合的に判断することが必要であり、医療行為を行うにあたり、東洋医学と心身医学の考え方と知識・経験が必須とされる時代になってきております。
本研究会では、EBM作業チームによるエビデンスを求める研究も進行中です、
さらに、2016年2月2日、Molecular Psychiatry誌に掲載された論文は、漢方薬の作用機序解明の大きなトピックとされております。本誌は、英国のSpringer-Nature社が発行元で、質の高い科学論文を掲載することで世界的に著名なNature誌も発行しており、とくに、精神医学分野におけるトップジャーナルであり、近年世界的に注目される分子精神医学領域では他誌の追随を許さない存在とされており、インパクトファクター14.496 (2014)と極めて高い雑誌です。本論文のタイトルは、Increased ghrelin signaling prolongs survival in mouse models of human aging through activation of sirtuin 1 です。つまり、六君子湯は老化モデル動物の寿命を延長する(長寿遺伝子Sirtuin 1を活性化する)という内容です。
このように、漢方薬の作用機序が科学の進歩に伴い、急速に解明されてきている事象を真摯に捉え、我々臨床に携わる医師は、それを広く国民の医療・健康・福祉に役立てる責務を負っていると考えられます。
多くの医師が本研究会に参加され、現代のストレス社会に悩む人々を救うための勉強を始められることを心から願っております。